水芭蕉
  この植物は日本の亜高山の湿地に自生するが、
  泥炭に自生する代表的な植物である。
  しかし、完全な泥炭ではない。
  葉が繁茂する夏には、材木腐朽菌が泥炭を分解し、養分が豊富になる。
  夏の水芭蕉は・・・春の面影は・・・どこえやら・・・の強大な葉を形成する。
  強大な葉を形成維持するための養分は、泥炭を分解したものである。

  つまり、枯れ落ち葉には、巨大なエネルギーが宿っているということ。
  この恩恵でラン科植物26000が命を繋いできたということである。
  山堀りというのは、これを断ち切ったということである。

  
なぜ、この講座で熱帯雨林の泥炭を書くかといえば、
材木腐朽菌のことを詳しく知っていただく為である。
なぜ、ランが好気性菌の材木腐朽菌と共生関係を結び菌根を捨てなかったのか。
このことを知らないと、本当のランの実相が見えないばかりか、
ラン菌削除の水ゴケなどの栽培が、いかに自然法則から大きく乖離したものであるか・・・
そういう根本のところが見えないからである。
SUGOI-ne栽培における炭素循環栽培の本当の栽培法が見えなくなるからである。
SUGOI-neは水ゴケ、軽石、バークの代替品として開発したものでないからである。
こんな用土が開発されようとは・・・ラン界の誰もが想定しなかった!
ラン界の固定観念を根底から破壊するのが・・・このラン菌による炭素循環栽培法である。
これを説明する場合、熱帯雨林の泥炭のこと知る必要がある!


ボルネオ島は世界有数の植物の宝庫である。
植物の宝庫はこれを食する動物、昆虫のの宝庫でもある。
昆虫の宝庫はこれをエサにする魚、両生類、爬虫類の宝庫でもある。
熱帯雨林は、夥しい枯れ葉、植物死骸を作る。
これを分解する材木腐朽菌が棲息しなければ、地表は枯れ葉で埋るのであるが、
多雨、高温、夥しい枯れ葉は絶好の材木腐朽菌が主役になる地表を作る。
つまりボルネオ島の熱帯雨林の地面は材木腐朽菌が主役、支配者である。
地上の樹木、ランに目を向けがちであるが・・・・・
本当の支配者は材木腐朽菌である。

しかし、ものすごい雨量は、地表を湖沼に変える。
水がエリアを支配すれば、材木腐朽菌は主役の座を奪われる。
水の中の枯れ葉のリグニン、セルロース。
好気性菌の材木腐朽菌は、酸素不足で充分な活動が出来ない。
セルロース、リグニンがほとんどを占める枯れ落ち葉を分解できない状態になる。
この結果この熱帯の島に、寒冷地のような泥炭層が形成されることになる。

この島には多くの着生ランが天空の楽園を作っている。
この楽園形成を可能にしているのが「超多雨」である。
着生ランが・・・決して乾燥を好むから樹の上で生きているのではない!
SUGOI-neで着生ランを栽培する場合、このボルネオ島の「泥炭」を考えることである。
当然湖沼にならない場所では、激しい炭素循環が行われ、
短時間で枯れ落ち葉は分解する。
これは、アマゾンの陸上も同じである。
枯れ葉が、日本の山のように分厚く堆積することは無い。
この養分で巨木は雨林の支配者としての立場を維持継続出きるのである。
このエリアではラン科植物は、細々と生命を継続するが、
一人では生命を継続できないので・・・地上の支配者ラン菌の菌糸をライフラインとして、
分相応のスローライフで生きている。

こういう原種を、日本で栽培すると・・・・・このライフスタイルを無視して・
沢山の花を咲かせることを目的にした技術を注ぎ・・・・
蘭展での喝采を目的の栽培を行うことになる。
でも・・・宇井清太の目には企業戦士のように見えて仕方が無い!
何故なのか・・・・????
よーく考えてみると肥料で作られた花には・・・・「たおやかさ」がないからである。
自生地で見る花が心を打つ美があるのは、自然の法則に・・・
素直な「たおやかさ」が有るからではないか。
SUGOI-ne栽培のランが美しく、たおやか・・・なのは・・・・
この自然の素直さがあるからではないか。
そのように思えるのである。
宇井清太の蘭展で人々が一見して・・・・東京ドームの花と・・・違う・・・と感じるようであるが、
それは「ラン菌」が棲息しているSUGOI-neの・・・
自生地再現のラン栽培の花だからである。
技術でなく自然に学ぶこころ・・・の問題である。
原点に還る。
この心が・・・花の美しさの違いに如実に表れる!
これは、農業の作物生産でも同じである。

このラン菌による炭素循環栽培法は、狭いラン世界のものでなく、
植物、作物栽培全般に通用するのは、
自然界の原理原則の道から外れたものでないからである。

蘭界ではボルネオ島は非常に重要な島である。
今でもこの島の熱帯雨林で新種のランが発見されつづけているからである。
ランだけではない!
カエルの新種の発見も次々・・・・。
オランウータンの棲む島でもある。
この島は、常に深い霧で覆われているため、衛星からの写真撮影でも、
全島が鮮明写ることはない。

この熱帯の高温多湿であれば・・・・
枯れ葉、植物死骸は短時間に材木腐朽菌のエサとなって分解されるはずである。
ところが、この島に寒冷地にあるような泥炭層がある!
アマゾンにもあることが知られている。

この泥炭は、多くは寒冷地で、枯れ葉、植物死骸が、
夏の間完全に材木腐朽菌による分解が行われないため、永年にわたって堆積したものである。
北海道の石狩原野などの泥炭はイネ科植物などの泥炭。
タイガー、北極圏では多くは水ゴケが分解しないで堆積したピートモス泥炭である。
つまり材木腐朽菌が激しく活動するには温度が必要なのである。
高温期間の短いエリアでは未分解の植物組織が毎年蓄積される。
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kouza 1bbbm

なぜ熱帯雨林のボルネオ島に
         泥炭層が有るのか???


  泥炭は材木腐朽菌による炭素循環が行われなかったことで生まれる。